Buch(ブーフ) 〜絵本と子どもとほのぼの暮らし〜

絵本や読み聞かせに使えるアイディアの紹介、子どもとののほほんな日々の暮らしの紹介します。

本と憩える場所

決して生涯忘れることのない、出来事。

あと1ヶ月で、東日本大震災から8年経とうとしています。

震災後に生まれた子どもたちは、もう小学生なんですね。

早いような、でも昨日のことのようにしっかりと頭に残っているような。

 

私が生まれ育った東北での出来事。

当時、住んでいた場所で、直撃した東北の人たちの受けた恐怖や不安とは比にならないかもしれませんが、地震により大きく揺れ、帰宅できず、不安だったあの日、その後しばらく続いた揺れへの恐怖。

そして、訪れたことがあり、記憶にある場所が大きく変わってしまったこと。

 

言葉にできないいろんな感情が、未だに沸き起こります。

 

今日紹介するのは、ノンフィクションの児童書です。

『うみべの文庫 〜絵本がつなぐ物語〜』(堀米薫/著 文研出版)

この本に出てくる長谷川ゆきさんは、自身で集めた約800冊の絵本とともに、家庭文庫の開設を夢見ていました。しかし、震災で集めた絵本を流失してしまいます。その後、いろんな人の支援を受け、子どもたちや大人の憩いの場として、絵本と人、人と人をつなぐ「うみべの文庫」を開いたのです。

 

「家庭文庫」は、個人の家の一角を文庫として解放し、子どもたちや大人が自由に本を読んで過ごせるようにと開設されたものです。長谷川さんは、子どもたちが安心して過ごせる場所になったら、という思いを込めて開いたようです。

学校でもなく、家でもない、先生でも親でもない大人に見守ってもらえる、第3の場所、「サードプレイス」。私は、このサードプレイスが子どもたちに、とても大事なんじゃないかと思っています。

まさに、家庭文庫はサードプレイス。子どもたちが窮屈だったり、緊張したりすることなく、安全で安心、心からくつろげる場所。

 

長谷川さんの、絵本と子どもたちへの思いが伝わり、あたたかいおはなしでした。

長谷川さんはお亡くなりになり、まだまだ文庫が続いて欲しかった、まだまだ塩釜の子どもたちの安心の場所であって欲しかったとさみしく思います。

家庭文庫は、1960年代日本全国に広まったと言われ、今は、減少傾向にあるようです。

子どもたちが、本や友だち、大人と触れ合い、安心できる場所が、残っていったらいいなあと思います。