ありがとう、ねずみくん。
ねずみくんの小さな赤いチョッキ。いろんな動物が次々と着ると、あらあらチョッキがどんどん伸びて、、。
モノクロに映える赤いチョッキ、記憶にある方も多いのでは。
『ねずみくんのチョッキ』(なかえよしを/文 上野紀子/絵 ポプラ社)は、1974年に生まれたロングセラー。今のお父さんお母さんも、幼い頃に読んでもらった思い出があるかもしれませんね。
先日、絵を担当している、上野紀子さんが亡くなりました。
絵本界を築き上げてきた作家さんが亡くなるのは、とても悲しく、寂しいです。
上野紀子さんの絵本が世に出たのは、ちょうど絵本界の黎明期の頃。子どもたちの絵本が増えてきて、作風も自由で多様化してきた時代です。
ねずみくんのおはなしは、繰り返しのリズムがよく、シンプル。小さな子から楽しめます。
最後は、ああ良かったと安心できるねずみくんのお話。そして、いつも小さな気づきをくれます。
私が好きな一冊は、『りんごがたべたいねずみくん』です。木の上に成っているりんご。とりさんが、一つくわえていきました。さるくんは、木に登って、一つ取っていきました。ねずみくんは、そんなみんなが羨ましくてたまりません。でも飛べないし、木に登れないアシカくんが、素敵なアイディアでりんごを取ります。みんなそれぞれ持ち味があるし、誰にも持っていない光るものがある。
ありがとう、ねずみくん。これからも、ずっと、子どもたち、かつて子どもだった人たちの側にいてね。