Buch(ブーフ) 〜絵本と子どもとほのぼの暮らし〜

絵本や読み聞かせに使えるアイディアの紹介、子どもとののほほんな日々の暮らしの紹介します。

3.11

あの日から8年。

どんなに月日が過ぎても決して忘れない。

毎年数える数字が増えていく。

 

東日本大震災は、故郷の東北で起こった出来事でした。

小学生の時に一年間過ごした宮城県名取市も大きな被害を受けました。

訪れたことのある石巻気仙沼…私の記憶にあるのは、震災前の街並み。

でも今は、明らかに変わっている。

変わっていくもの、変わらないもの、変わらざるを得なかったもの。

 

絵本『ひまわりのおか』(ひまわりをうえた八人のお母さん、葉方丹/文 松成真理子/絵 岩崎書店

最愛の我が子を津波で亡くしたお母さんたちの、子どもたちへの想いが一杯詰まった絵本。

亡くなった子どもたちは、石巻の小学校の子どもたちでした。

子どもたちを想い、丘の上にひまわりを育てるお母さんたち。

現地を訪れた葉方丹さんは、子どもたちのことを話してくれたお母さんたちの、想いや我が子へのメッセージを絵本にしたいと思い、生まれたのがこの絵本です。

 

昨年、荒れていると聞いていたある小学校6年生の、小学校最後の読み聞かせで、この絵本を選びました。誰か一人、たった一人でも聞いてくれたらいいと思って読みました。

茶化されるか、聞かないか、そうだろうと思っていたら、全員が静かに聞いていました。

数日後、そのクラスの男の子と偶然、街中であった時、「あの時、読み聞かせに来た人ですよね。」と声を掛けてくれました。とても嬉しかったのを覚えています。

あの時、あの場所で、あの絵本を聞いた。

このちょっとした記憶が残ってくれたのかと、ただそれだけで、読み聞かせをしていて良かったと思える瞬間なのです。