長倉洋海さんの写真絵本
前回に続いて、フリーフォトグラファー長倉洋海(ながくらひろみ)さんの絵本を紹介したいと思います。
長倉さんは、世界のいろんな状況下に置かれた地を訪れ、そこに暮らし生きる人々を写真という形で写しだしています。私たちが知るのは、ただ表層上の知識や情報。長倉さんの絵本からは、そこで暮らす人たちの現実を感じることができます。
今回紹介する一冊は、長倉さんの『はたらく』(アリス館)。
アリス館から出る写真絵本は、どれも洗練されていて良質なものが多い印象です。
さて、この写真絵本、世界各国のはたらく子どもたちが写し出されています。
羊を放牧する少年、水汲みに行く少女…彼らの「はたらく」は、私たちの想像する「はたらく」より一層「生きる」ことに密接に結びついている気がします。
過酷だな、大変そうだな、とふと口に出してしまいそうですが、果たして彼らはそう感じているのでしょうか。仲間や家族と支え合い、誇り高く、穏やかな表情に見えます。
読む人それぞれに、それぞれの気づきがあるでしょう。
もちろん、表現豊かな日本語から、想像を巡らせることはあります。
でも言葉を超えて、絵や写真からは、より多くの想像の余白を与えてくれるなぁと思います。
いろいろな気づきを与えてくれる、長倉さんの絵本は、そんな絵本だなぁと思います。